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〈所在地〉まんのう町七箇(しちか)
尾瀬山(おのせやま)の標高577mの山頂から60mほど東へ下った斜面に尾瀬神社が鎮座している。現在までの現地調査によって、神社の北東斜面で数箇所の建物跡(たてものあと)を確認している。
「墓の丸」と呼ばれる場所で、墓と考えられる石積(いしづみ)を数基(き)確認し、うち1基を発掘調査したところ、鎌倉~室町時代の遺物が出土した。中でも中国産の白磁四耳壷(はくじしじこ)は県内でも数例しか確認されていない貴重な遺物である。
後の江戸時代の文献に、「尾瀬寺(おのせじ)は七間四面(しちけんしめん)の仏堂(ぶつどう)、諸堂(しょどう)、仁王門(におうもん)、鐘楼堂(しょうろうどう)などがあり、南の尾根には墓所があり、飲み水となる名水が2箇所ある」と記されており、隆盛を極めたであろう尾背廃寺(おのせはいじ)の当時の姿をうかがい知ることができる。