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香川県指定有形文化財(彫刻)
〈指定年月日〉昭和56年4月21日
本像は平安時代後半の作とされる。髻(もとどり)は高めに形良く整えられ、丸く短い面相に穏やかな目鼻を巧みに刻み、裳(も)の折り返し部分が浅く柔らかに彫り出されるなど、この時代の代表的な作例といえる。
現在、素木の像の印象を受けるが、桧材寄木造(ひのきざいよせぎづくり)で像表面には金箔を漆で貼った痕跡が残る。眼は彫り込まれており、像高は101cmである。
本像は聖観音(しょうかんのん)とも称されていたが、腰を左にひねり、右手を膝前に出している姿からみて、薬師如来(やくしにょらい)の脇侍(わきじ)である月光菩薩(げっこうぼさつ)ではないかとする説もある。